SS.EMI – 円筒スキャンのススメ

SS.EMI-RE – 円筒スキャンのススメ

ー ESW(Wide Band FFT)で実現する高速EMIプリスキャン ー

円筒スキャンは、ターンテーブル回転とアンテナマスト昇降を同時に連続制御することで、
放射エミッションのプリスキャンを効率化する測定方式です。
Wide Band FFT と SS.EMI の自動測定機能を組み合わせることで、候補周波数の抽出 → 最大位置検索(必要点のみ)までをスムーズに実行できます。

・ このページで分かること
■ 円筒スキャンの概要と従来手法との違い
■ QP / AV を含むプリスキャン運用(PK Max Hold 推奨)
■ 30~1000MHz における推奨パラメータ例
■ 最大位置検索(スパンは基本 ±0.5MHz)の考え方

円筒スキャンとは

円筒スキャンは、ターンテーブル回転とアンテナ昇降を同時に行い、角度×高さの測定空間を連続走査するプリスキャン方式です。
周波数ごとに 最大レベルと、そのときの 角度・高さを効率よく把握でき、従来の「角度固定・高さ固定測定」を繰り返す方式に比べ、
測定時間を大幅に短縮できます。

・ 角度依存ピーク / 高さ依存ピーク を短時間で抽出
・ QP/AVプリスキャンに対応(条件設計により安定値取得が可能)
・ PK(Max Hold併用)で一過性ピークの取りこぼしを低減

※各角度で全高さを同時に測る方式ではないため、最終値の確定には 最大位置検索(角度± / 高さ±の局所探索)を併用します。

Comparison of traditional EMI measurement and cylindrical scan with continuous helical scanning

推奨シーケンス(偏波切替を含む)

例として、ハイブリッドアンテナ運用では以下の流れが有効です。

1. 水平偏波で上昇スキャン(円筒スキャン)
2. 偏波切替
3. 垂直偏波で下降スキャン
(円筒スキャン)
4. 最大位置検索(最終値の確定)

EMI cylindrical scan sequence with antenna height control and turntable rotation

推奨設定

プリスキャン(候補抽出)

■ 検波:QP/AV を使用可能(受信機仕様に依存)
■ PK:取りこぼし対策として常時取得(Max Hold 推奨)

例:簡易測定版(高速プリスキャン)
・ Dwell:200~500 ms(Max Hold 前提)
・ テーブル回転速度:0.5 RPM
・ マスト昇降速度:1.25 cm/s(1.5mを2分)
・ 目安時間:約4分

例:最終測定版(準・最終値取得)
・ Dwell:1 s(Max Hold 不要)
・ テーブル回転速度:0.5 RPM
・ マスト昇降速度:0.833 cm/s(1mを2分)
・ 目安時間:約6分

候補データの持ち方(軽量運用)

全データを保存せず、周波数ごとに 最大値更新時の「レベル・角度・高さ」を記録する運用が有効です。
また、PK/QP/AV で最大化位置が異なる場合があるため、検波ごとに角度・高さを保持できると後工程がスムーズです。

最大位置検索(最終値の確定)

円筒スキャンで抽出した候補周波数に対して、角度・高さの局所範囲で最大化を行います。
この工程を 最終測定として扱うことで、従来の全面再測定を省略しつつ規格評価に必要な最大値を確定できます。

■ Dwell:1 s(AVは1~2 s推奨)
■ 周波数スパン:基本 ±0.5 MHz
・ 低周波数帯では周辺信号を拾う可能性があるため、狭めが安全
・ 候補周波数の変動が大きい場合のみ 例外的に ±1 MHz を使用
■ 角度:±10°(0.1~0.5 RPM)
■ 高さ:±0.2 m(5~20 cm/s)

よくある質問(FAQ)

Q. QP/AV の Max Hold は必要?

基本は不要です。最終測定版(Dwell 1 s)では Max Hold なしで運用できます。
高速プリスキャン(200~500 ms)では、取りこぼし対策は PK(Max Hold)を主に使い、QP/AV は傾向把握として扱うのがおすすめです。

Q. 0.5RPM は遅すぎない?

QP/AVを含む運用では、0.5RPMは「取りこぼしを抑えつつ速度も確保できる」バランスの良い設定です。
時間を優先して回転を上げる場合は、候補点の拾い漏れリスクが増えるため、PK(Max Hold)や最大位置検索で補う運用が前提になります。

Q. 2回転で3m上昇は可能?

プリスキャンとしては運用可能です(回転×昇降で螺旋状に走査します)。
ただし、角度・高さの組み合わせを完全に網羅する方式ではないため、最終値の確定は最大位置検索(角度±/高さ±)を併用してください。

Q. スパンはなぜ±0.5MHzが基本?

低周波数帯では周辺信号(外来信号や別ピーク)を拾いやすく、スパンを広げるほど別ピークに引っ張られる可能性が上がるためです。
候補周波数の変動が大きい場合のみ、例外的に±1MHzで再検索します。

Q. 取りこぼしが心配な場合は?(PK Max Hold)

PK(Max Hold)を併用し、必要に応じてDwellを延ばす、回転・昇降を落とす、候補抽出のしきい値を緩める、といった方法が有効です。
最終的には最大位置検索で候補点を確定する運用を推奨します。

注意事項

本ページはプリスキャン効率化のための推奨例です。規格適合の最終判断は、適用規格・試験所運用に従ってください。
※R&S、ESW は Rohde & Schwarz GmbH & Co. KG の登録商標です。

技術資料ダウンロード

本ページの内容をまとめたPDF資料をご用意しています。
社内共有・検討資料としてご利用ください。

📘 SOM-EMI-12_Cylindrical_Scan_EMI-RE_Guide.pdf

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